教育は変われないのか~集団授業はもはや成立しない~
こんにちは、こんばんは。
今回は公教育、私的教育問わず、授業の在り方について考えていきます。
(特に中学生くらいの年齢層を想定して書いています)
現状、学校でも塾でも最も一般的な授業スタイルは集団授業です。(一斉授業とも言いますね)
ほとんどの人が受けたことがあると思いますが、教師1人に対して生徒が30人くらいいて、教師がほぼ一方的に知識を伝授するやり方です。
歴史的には19世紀頃からあり、多くの人数に対して効率的に知識の伝達ができるということで現代においてもポピュラーな手法となっています。
ただ、現場で子供たちと直接コミュニケーションをとっている身として個人的に思うのは、このシステムの破綻が近づいているのではないかということです。(学校で何も修得することなく塾に来る子のなんと多いこと!)
その理由として、
・できる子にとっては簡単すぎる
・できない子にとっては難しすぎる
・教師1人で何十人の理解度を把握するのは困難
といったことが挙げられます。(以前から議論の的になってはいましたが…)
また、個々人の理解度の差だけでなく、一人の中でも理解しやすい分野と理解しにくい分野があるのです。
ある程度学力別に選抜している私立中学や一般的な高校・大学でもこういった指摘はされますし、公立中学であればかなり深刻な問題でしょう。
今に始まったことではないですが、以前より更にこの傾向が顕在化しているのではないかと思います。
時代の流れとともに教育現場を取り巻く環境は変化しています。
なのにシステムがそのままでは何らかの歪みが出てくるのは当然のことです。
もともと効率的に知識を伝授するための方法だったはずですが、もはや効率的ですらない、ただ惰性で続けているようにも見えます。
《生徒のニーズの多様化》
例えば戦後すぐであれば、一斉授業のスタイルは非常に有効だったと思います。
まず何より何十人に対して一気に情報を伝達することができますし、生徒の方もまともな教育を受けてきた人間が少ないのでそれは貴重な学習機会となったことでしょう。
教える側からしても、(生徒の理解の早い遅いはあるにしても)皆が知識を持っていない状態なので、ある種平等ともいえるスタートラインから授業を始めることができ、授業計画を組みやすいです。
でも今は違う。
生徒個々人の能力差があるのはもちろんですし、学習環境も家庭によってあまりに多様です。
塾に行くか、
本を買い与えられるか、
家は落ち着ける場所か、
家庭内で建設的な会話がされているか、
経済的事情でそれらが叶わないのか、
あるいは親の資質によるものか、
などといったことは生徒本人にはほとんど責任が無いものの、歴然とした差となって学力に現れる要素です。
要するに、バックグラウンドが違い過ぎる。
これが学力の差を生み、授業の運営を難しくしています。
どんどん難しいことを考えたい子、みんなと一緒がいいなと言う子、過去の単元から全く理解できていない子、そもそもやる気を失っている子。
みんなを同時に満足させるのは不可能と言えるでしょう。
学力分布的にも中位層が下位層に下方スライドしつつある状況なので、「平均的な指導」というのが難しくなっていると思います。
現状として、「誰も満足していない授業」が完成されているので、制度の根本的な見直しも必要かもしれません。

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《テクノロジーの進歩》
ついていけないほどの速さでテクノロジーが進歩しています。
教育業界も恩恵を受けられる部分がないかということは十分に議論されるべきでしょう。
僕の個人的な趣向で言うと、教科書とノートで勉強するスタイルがしっくりきているのですが、全員がそのやり方を採る必要性は必ずしもないと思います。
タブレットに入力する、音声データで保存する、ビジュアル的に理解するといったように様々なスタイルがあってもいいでしょう。
私立の学校ではタブレットを配布するところも増えていますね。
利用できる技術は利用しつつ、自分に合った勉強法を模索するのがベストだと思います。
最近では、人工知能(AI)が、生徒の間違いのパターンを分析して最適な復習問題を用意してくれるソフトもあるそうです。
こうなると課題の用意という点では人間より機械の方が上ということもあり得るでしょう。
問題作成は機械に任せて、教師は生徒の心理面のケアに注力した方が効率的だという見方もできます。
人工知能は生徒一人一人に合った問題を用意できるので簡単すぎて退屈する子はいなくなり、教師は下位層の補習や生徒への声掛けにより多くの時間を割くことができます。
と考えると現行の授業スタイルが効率的とは言い難く、見直しが必要なのではないかと思います。
《まとめ》
時代とともに変化してきたことを分析し、個々の能力だけでなくシステム全体としても時代のニーズに合ったものに変わっていくことが必要だと思います。
今回取り上げたのはほんの一例ですが、より広範な観点から議論していく必要があるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それではまた!
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